2011年9月27日火曜日

サントーバン渓谷

ローマ時代の遺跡
夏も終わり、涼しい秋風が吹き始めたので再び週末のハイキングに出ている。ニース生まれの妻が言っていたように、9月に入り、最初の嵐が通り過ぎると夏は終わってしまったかのようだった。朝晩はTシャツ一枚では寒くなり、日中の日差しも大して厳しくなくなった。オフシーズンの観光客はまだまだ海で泳いだりしているのだが、真夏の雰囲気はもはそこにはない。山歩きには最適な気温なのだが、その一方で秋、冬は日本と違い、天気が余り良くない。
今回行ったのはアルプ・マリティム県の西端、ヴァール県との県境にあるサントーバン(Saint Auban 人口約270人、標高1051メートル)という小さな村で、そこの渓谷の周辺を歩いた。村は嘗てこの辺りを覆っていた森林を切り開かれてつくられた広い農耕地を見渡す崖の中腹にあり、ローマ時代には戦術的に重要な場所で城壁に囲まれた城が建っていたようだが、ハイキングルートの脇に立っていた崩れかけた石造りの門以外にはその時代の遺跡は見当たらなかった。
3時間余りのハイキングの大半は森の中を歩いた。
渓谷が見えてきた
この日は曇りがちで日差しがなかった分、湿った空気がひんやりとしていて気持ちがよかった。上り下りの緩やかな行程だった。途中で茸をたくさん摘んだが、後で毒性があることが分かりすべて捨ててしまった。野生の猪がそれを知っていて食べずに残していたのを我々が見つけたのだろう。中世までこの辺りは狼が多くいたようだ。もちろん、現在は絶滅してしまっている。花は余り見かけなかった。もうその季節ではないのだろうか。開けた所に出ると、これから向かう渓谷の一部が見え始めた。
車道から眺める
2時間ほど歩いた後、森を抜けて車道に出た。そこからは渓谷沿いにこの車道を歩いて村に戻った。ここからさほど遠くないダルウィス(Daluis)渓谷の雄大さには及ばないものの、非常に深い渓谷で、その幾重にも落ちる滝が印象的だった。秋が深まり、紅葉が始まる頃にはさらに綺麗な絵になるに違いない。
車道の欄干から写真を撮ったり、川辺まで下ったりしてしばらくここで時間を過ごした。観光客用に歩道が設けてあったが、落石のために閉鎖されていた。この辺りはニースやグラスからの交通の便が悪いので、観光客も余り来ないようで、車も稀にしか通らなかった。