2012年9月26日水曜日

カヨル峠 - メルカントゥール国立公園

カヨル峠(Col de la Cayolle)はアルプ=マリティム県(Département des Alpes-Maritimes)とアルプ=ドゥ=オート=プロヴァンス県(Département des Alpes-de-Haute-Provence)にまたがる、標高2,326mの峠である。ちなみに、カヨルとは山小屋の意味である。ニースからは車で2時間弱とやや遠いが、私たち夫婦のお気に入りのハイキングコースのひとつなのでここに紹介したい。左の地図をご覧頂ければわかるように、カヨル峠の駐車場を出発する周回ルートで、標高差500m、所要時間3時間弱という比較的易しい行程だ。ここはメルカントゥール国立公園に属している。 コースの前半はロソン峠までの4km程のなだらかな登りである。コンスタントな登りなので膝にはよいのだが、トレイルの周辺には木がまったく生えてないので日陰が無く、カンカン照りの夏場のハイキングはかなりきついのではないかと思われる。気温の低い秋か春の早朝に登り始めるのが懸命だろう。ロソン峠の手前で広い盆地の斜面を歩く。水の干上がったロソン湖が眼下に見えた。岩だらけの殺伐とした風景である。

ロソン湖を望む

      ロソン峠の周辺は台地のように平坦である。道標から少し歩いて崖の縁に立つと、下にアロス湖(Lac d'Allos)が見えた。アロス湖はヨーロッパで一番高い最大の自然湖だそうだが、この複雑な定義は忘れてその美しさにしばらく見入った。湖の周りの山々も美しい。アロス湖からはこの近辺で一番高いペラ山(Mont Pelat - 3051m)へ登るトレイルがのびている。小カヨル峠からもペラ山に行くことが出来るのだが、アロス湖に車を止めて登ったほうがより効率的だ。

アロス湖

      近くの雪崩山(Montagne de l'Avalanche)と呼ばれる山の頂上(2729m)まで登ってみたが、景色はそれほどでもなかった。ロソン峠の道標まで戻り、小カヨル峠を目指して歩き始める。この辺りは歩くのが楽しい。どこか、公園の広場を散歩している気分がする。30分程でガレ湖(Lac des Garrets)に着く。ペラ山がよく見える。ここで昼食をとった。次第に雲が出てきた。この時期の山は午後は天気が悪い。他のハイカーが続々到着し、やや騒がしくなったので早々に出発する。

ガレ湖とペラ山


小カヨル湖
小カヨル峠の手前で野生のモルモットを見つける。前回も同じ場所で見かけたことがある。多分、同じ家族だろう。皆、一様に丸々と太っている。峠の下には小カヨル湖がある。この辺りは水が豊富にあるので彼らは生き延びてゆけるのだろう。小カヨル峠に到着。 しばらく休憩した後、駐車場目指して峠を下る。ここからは見慣れた景色が広がる。なだらかに隆起する丘が幾重にも交錯する、牧歌的とも形容できるような風景である。今回は放牧された羊の姿は見えない。どこか別の草地に移ったのに違いない。小カヨル峠から駐車場まではいつも長く感じられる。疲労感からそう感じられるのだろうが、歩いても歩いても駐車場になかなか着かない。 このルートの魅力はその手軽さにある。すでに出発地点が高いので、3000mに届くような高山からの絶景が1時間ほど歩けば見ることができる。トレイルも比較的なだらかなので子供も連れて行ける。実際、駐車場から直接小カヨル峠まで行って戻る2時間余りのコースが最も人気があるようだ。ただ、どこでもそうだが山の天気は変わりやすいので細心の注意が必要だ。あと1ヶ月ほどでこの辺りは雪が舞い始めるだろう。その時はこの自動車道も閉鎖されるようだ。