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深淵の岩から東を望むとトンド峠を越えてフランス側に流れ落ちる雲海とジオーレ要塞が見えた |
深淵の岩(Roche de l'Abysse 標高2755m)はイタリアとフランスの国境に位置し、トンド峠(Col de Tende 標高1870m)を見下ろすように聳えている。先日、この山に登ってきたのでその時の様子を少し書いてみる。山頂からの景観が非常に素晴らしく、是非、皆さんにもお勧めしたい。
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ハイキングルート |
県発行のガイドブックはトンド峠から登るルートを載せていて、これがどうやら正規のルートのようであるが、この日の峠は悪天候で視界も殆どゼロだったので、我々はカステリーノ(Casterino)側から登った。このルートは余り知られていないようである。全行程は休憩を入れて6時間位だった。難易度は中級程度だろうか。だが初心者でも充分歩ける。トレイルは標識がよく施されていて迷うようなことはない。
出発点は、偶然出くわした地元の猟師に教えてもらったペイルフィック峠(Baisse de Peïrefique)に近い林道の脇で(標高1974m)、そこまでは車で行った。
半時間ほど丘を上った後、カラマーニュ谷(Vallon de Caramagne)の谷底に下る。目の前に深淵の岩の頂上がすでに見えてくる。谷底からは谷の向かい側の斜面を再び緩やかに登って行く。トレイルはジオーレ要塞(Fort de Giaure)まで延びていて、そこから折り返すように山尾根伝いに深淵の岩まで行くのだが、我々は要塞の手前で緩やかな草地の斜面を直接上ってやや距離を稼いだ。最後の200メートルほどは岩場の登りで、幸いにも気温がやや高かく、風も強くなかったのできつくはなかった。
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山頂からイタリア側(北)を望むと遠くにヴィゾ山も見えた |
頂上には無人の測候所と国境を示していると思われる十字架が立っていた。登山愛好家のものだろうか、見知らぬイタリア人の遺影もそこここに飾られていて、さながら簡易墓地状態である。頂上からは西に驚異の谷(Vallée des Merveilles)、北にイタリアの名山ヴィゾ山(Monte Viso 標高3841m)さらには雪に覆われたスイスアルプス、東にトンド峠、南にフランスの山々が望まれた。天気が良ければ地中海まで見えそうである。この日は残念ながら、イタリア側は雲海に覆われていて高山の山頂以外は何も見ることができなかったが、正に息を呑むようなパノラマだった。