2012年11月7日水曜日

プロヴァンスの紅葉

クルムの森から見るルー渓谷

昨日、紅葉狩りをしにクルム(Courmes)に行ってきた。だいぶ紅葉が進んでいたが、色が深まるのはもう少し先のようだった。この辺り一帯は森に覆われていて景色がよく、ニースからも近いので、春、夏、秋とシーズンを通して人が多く訪れるのだが、昨日は平日だったので村の駐車場はガラガラで、他のハイカーに出会うことは結局、一度もなかった。ここに来ていつも残念に思うのは淡い黄色に変色する木が多いので、写真が鮮やかに映えてくれないことだ。錦絵のような感じの写真を撮りたいのだが、なかなかうまく行かない。(高画質の写真はFlickrでどうぞ。)

2012年11月2日金曜日

朝の散歩:ニースの光りと音

昨日は諸聖人の日(Toussaint)で休日だった。私たちは朝、Colline du Château まで散歩した。前日の夜にニースを通り過ぎた嵐の影響がまだ残っていて海はかなり荒れていた。

            

2012年10月22日月曜日

ルー渓谷


先週の日曜日に友人を連れてルー渓谷に行ってきた。紅葉はまだまだ先のようだった。

2012年9月26日水曜日

カヨル峠 - メルカントゥール国立公園

カヨル峠(Col de la Cayolle)はアルプ=マリティム県(Département des Alpes-Maritimes)とアルプ=ドゥ=オート=プロヴァンス県(Département des Alpes-de-Haute-Provence)にまたがる、標高2,326mの峠である。ちなみに、カヨルとは山小屋の意味である。ニースからは車で2時間弱とやや遠いが、私たち夫婦のお気に入りのハイキングコースのひとつなのでここに紹介したい。左の地図をご覧頂ければわかるように、カヨル峠の駐車場を出発する周回ルートで、標高差500m、所要時間3時間弱という比較的易しい行程だ。ここはメルカントゥール国立公園に属している。 コースの前半はロソン峠までの4km程のなだらかな登りである。コンスタントな登りなので膝にはよいのだが、トレイルの周辺には木がまったく生えてないので日陰が無く、カンカン照りの夏場のハイキングはかなりきついのではないかと思われる。気温の低い秋か春の早朝に登り始めるのが懸命だろう。ロソン峠の手前で広い盆地の斜面を歩く。水の干上がったロソン湖が眼下に見えた。岩だらけの殺伐とした風景である。

ロソン湖を望む

      ロソン峠の周辺は台地のように平坦である。道標から少し歩いて崖の縁に立つと、下にアロス湖(Lac d'Allos)が見えた。アロス湖はヨーロッパで一番高い最大の自然湖だそうだが、この複雑な定義は忘れてその美しさにしばらく見入った。湖の周りの山々も美しい。アロス湖からはこの近辺で一番高いペラ山(Mont Pelat - 3051m)へ登るトレイルがのびている。小カヨル峠からもペラ山に行くことが出来るのだが、アロス湖に車を止めて登ったほうがより効率的だ。

アロス湖

      近くの雪崩山(Montagne de l'Avalanche)と呼ばれる山の頂上(2729m)まで登ってみたが、景色はそれほどでもなかった。ロソン峠の道標まで戻り、小カヨル峠を目指して歩き始める。この辺りは歩くのが楽しい。どこか、公園の広場を散歩している気分がする。30分程でガレ湖(Lac des Garrets)に着く。ペラ山がよく見える。ここで昼食をとった。次第に雲が出てきた。この時期の山は午後は天気が悪い。他のハイカーが続々到着し、やや騒がしくなったので早々に出発する。

ガレ湖とペラ山


小カヨル湖
小カヨル峠の手前で野生のモルモットを見つける。前回も同じ場所で見かけたことがある。多分、同じ家族だろう。皆、一様に丸々と太っている。峠の下には小カヨル湖がある。この辺りは水が豊富にあるので彼らは生き延びてゆけるのだろう。小カヨル峠に到着。 しばらく休憩した後、駐車場目指して峠を下る。ここからは見慣れた景色が広がる。なだらかに隆起する丘が幾重にも交錯する、牧歌的とも形容できるような風景である。今回は放牧された羊の姿は見えない。どこか別の草地に移ったのに違いない。小カヨル峠から駐車場まではいつも長く感じられる。疲労感からそう感じられるのだろうが、歩いても歩いても駐車場になかなか着かない。 このルートの魅力はその手軽さにある。すでに出発地点が高いので、3000mに届くような高山からの絶景が1時間ほど歩けば見ることができる。トレイルも比較的なだらかなので子供も連れて行ける。実際、駐車場から直接小カヨル峠まで行って戻る2時間余りのコースが最も人気があるようだ。ただ、どこでもそうだが山の天気は変わりやすいので細心の注意が必要だ。あと1ヶ月ほどでこの辺りは雪が舞い始めるだろう。その時はこの自動車道も閉鎖されるようだ。

2012年8月12日日曜日

メルカントゥール国立公園(2)

ハイキングルート
メルカントゥール国立公園のハイキングの2日目はフネストル聖母教会の南に位置するプラル湖(Lacs de Prals)へ登る周回コースを歩いた。五つの小さい湖からなるプラル湖はよく知られており、シーズン中はハイカーが多く訪れる。県発行のガイドは御覧のように反時計回りになっているだが、山小屋の従業員の勧めで時計回りに歩くことにした。結局、この方が最後の下りがきつくなく、また景色の変化もより楽しめたと思う。全行程4時間、標高差530mの体にやさしいハイキングである。
山小屋から牛小屋(ここで地元産のチーズを買えるようなのだが、我々の滞在中は運悪く閉まっていた)の脇を通り、カラマツの茂る谷を登る。最初は急斜面をひたすら登るだけで面白くないのだが、標高が増すにつれて次第に視界が開けてくる。草花に覆われ、小川が流れる牧場のような平地を横切る。この辺りから登りは緩やかになる。左右にそびえる3,000mにとどく山々を眺めながら時間をかけてゆっくり登って行く。
2時間足らず歩いた後、道標が立つ峠に着いた。眼下に目的のプラル湖が見える。湖は三方を山に囲まれた草地に横たわっている。アイベックスの集団が駆け足でハイキングトレイルを横切って行くのが見える。水でも飲みに来たのだろうか?ハイカー達を遠回しにしながら山の向こうに消えて行った。峠から湖まで下る。下ると言っても、標高2,339mもある。湖には水草がびっしりと生えていた。水は冷たく、やや濁っている。蛙が人影に驚いて飛び跳ねる。我々はここで昼食をとった。
プラル湖全景
朝は快晴だったが、昨日と同様に次第に雲が出てきた。雲は風に吹かれて空をどんどん流れて行く。地表を雲影が這って行く。美しい場所なのでハイカーが途切れなくやって来る。子供連れの家族、老人のグループもいる。しかし、絶対数は少ないので、誰もが思うがままにこの自然を楽しむことができる。
プラル湖を出ると長い下り道になる。眼下に広がる広大な草原に向かって山の斜面をゆっくりと下って行く。トレイルの脇を小川が流れている。この辺りに生息しているモルモットが鋭い警戒音を発する。母親なのか、岩に上がってこちらをじっと見ている。モルモットは高山では比較的よく見かける。中には人馴れしていて、近寄っても逃げないのがいる。やがて草原の端の三叉路に着く。左にのびる道はどうやら山の尾根を巡るトレイルらしい。我々は右手に折れ、放牧されている牛を驚かせないように注意しながら草原を横切って行く。草原を抜けると谷を下る。谷川が勢いよく流れている。水量が豊富である。谷の斜面は草花で覆われ、蝶が無数に舞っている。撫子もあちこちに咲いている。蛍もいるかも知れない。途中、20人ほどの中学生のグループに出くわす。ニースからやって来たという。谷を下り終えると車道に出る。最後はこの車道を登って山小屋に戻った。
登り下りがきつくない、初心者も十分に楽しめるコースだが、ハイキングシューズは必須だと思う。とにかく景色が素晴らしい。天気が良ければ申し分ない。次回は周辺の山に登ってみたい。

2012年7月27日金曜日

メルカントゥール国立公園(1)

前にも話したように、ニースがあるアルプ=マリティム県は地理的には沿岸地帯、中部山岳地帯、高山地帯の三つに分けられ、3,000m以上の標高差がある。ちなみに、県内最高峰のジェラ山(Gélas)は3、143mある。直線距離にして、ニースの海岸からジェラ山まで40kmもない。この県は地形並びに気候的に非常に変化に富んでいて、ハイカーにとっては天国のような所である。現在、高山地帯の大部分は国立公園化され(Parc National du Mercantour)保護されている。普段は余り遠出はしないのだが、夏休み中ということもあり、先日、泊りがけでジェラ山の近くを歩いてみた。
サンマルタン=べスビー(St-Martin-Vésubie)の近くにフネストルの聖母(Madone de Fenestre)と呼ばれる教会があり、この辺りのハイキングの出発地点となっている。そこはすでに海抜1,903mの高さである。同じ敷地内に我々が泊まった山小屋(朝食、夕食付で一人45ユーロ)も立っている。初日はここからフネストル湖、フネストル峠を巡って教会に戻る4時間、高低さ660mのやさしいルートを選んだ。
ハイキングルート
山小屋周辺はまだ草木が茂っているのだが、2,500m辺りに近づくとさすがに岩だらけの荒涼とした風景が広がり始め、どこか別の惑星に降りたったような不思議な雰囲気にとらわれる。所々に残雪が見られるが、我々はショーツにTシャツの軽装である。風は冷たく、時折ジャケットをはおったりした。フネストル湖の脇を抜け、峠までさらに登った。峠の向こうはイタリアである。岩山が幾重にも連なり、その上を綿雲が駆け足で通って行く。雲を見ていると心が落ち着く。我々は冷風の当たらない岩陰に避難し昼食をとった。ここからは谷の反対側の斜面を下りながら山小屋に戻ることになる。大体の方角の見当はついているので問題ではなかったものの、案内表示が貧弱で帰りは幾度か迷いそうになった。あちこちでトレイルが枝分かれしていた。山小屋に着くと冷たい飲み物で喉を潤した。結局、5時間以上山にいたことになった。天気がよく、景色も素晴らしく、非常に満足できたハイキングだった。

2012年6月21日木曜日

ルー渓谷再訪

水道管に沿って歩く
ここ数日、ニースでは30度を超える真夏日が続いている。コートダジュール地方だけが連日快晴で、それ以外のフランスは全般的に天候不順のようだ。酷暑で海水の温度が急上昇し、既にクラゲが出現したという話も聞いた。ニースの海岸や繁華街は観光客で溢れ返っているので、週末は人混みを離れて山に行きたくなる。先週の日曜日はルー渓谷 (les Gorges du Loup) へ行ってきた。以前にも幾度か出かけているのだが、今回は新しいトレイルを歩いて、西側斜面からクルムの滝 (la Cascade de Courmes)を撮影しようと思ったからだ。県発行のガイドブック(上のリンク)は6時間半の周回コースを薦めているのだが、体力と暑さを考慮して私たちはその約3分の1を歩くことにした。
  ニースから車で40分程北上してブラマフォン (Bramafan) という集落に着いた。僅か数軒の家が建っているだけの小さな村で、その手前にある橋を渡り、山の斜面を少し上ると前述の周回コースにぶつかる。ここから太い水道管に沿って新緑の森の中を南下することになる。道は平らで、所々舗装されていて歩きやすかった。水道管は岩をくり抜いたトンネルを幾度も通っていた。工事用のトンネルなので中は非常に狭く、照明もない。私たちは懐中電灯を持って来なかったので、携帯電話の明かりで急場をしのいだ。どうやらこの水道管はブラマフォンにある泉から飲料用水を下流の村に送るために設置されたようだ。切り立った山の岩の斜面に蛇のように張りついてくねくねと続く水道管の脇を歩いていると、当時の工事の苦労が思いやられた。
バルコニーからの景色
森の中を1時間ほど歩くと突然、視界が開け、見晴らしの良い場所に出た。手で押すとグラグラする貧弱な欄干から恐る恐る下を覗くと、200メートルを超える絶壁である。コンクリートの歩道がちょうどアパートのバルコニーのように岩肌から宙に突き出ている。思わず足がすくんでしまった。目当ての滝が対岸に見えたが、背の高い木立に阻まれて思ったような写真がなかなか撮れない。後でわかったのだが、この地点が一番景色が良かった。ニースから僅か30キロ足らず走れば、このような野性味溢れる自然に触れられるということは驚きである。私たちは恵まれている。あまりに景色が素晴らしかったので、ここでサンドイッチの昼食をとった。他のハイカーが2組通り過ぎて行った。絶景にもかかわらず、不思議と人が少なく閑散としている。私たち二人は鳥の鳴き声や夏風に揺れる木の葉の音をゆっくり楽しむことが出来た。
クルムの滝
  昼食の後、私たちは渓谷の入り口を目指してさらに南下して行った。もう森の中に入ることはなく、視界はずっと開けていた。以前、近くのグルドン (Gourdon) という村にハイキングに出かけた時、この同じ水道管が通る別のトレイルを歩いたことがあったので、その分岐点まで行くつもりだった。しかし、思っていたよりだいぶ距離がありそうだったのと、次第に景色が平坦で単調になってきたので、1時間余り歩いた後、引き返すことにした。
昼食、休憩を含めて4時間半余りのハイキングだった。道は平坦で歩きやすく、人が少なく静かで、しかも息を呑む絶景が楽しめる理想的なコースだった。県外在住の友人を連れて行くには最適な場所だろう。ニース生まれで、年季の入ったハイカーの妻は初めてこのトレイルを歩いた。ニースに近く、よく知られた渓谷なので最初はあまり多くを期待していなかったようだが、すぐにお気に入りのコースのひとつになった。秋の紅葉シーズンにはまた来ようと話し合った。