2013年7月12日金曜日

夏山:ペルラ山(La Perla)

左端にそびえるのがペルラ山

夏のニースは住みづらい。外は30度を超える暑さ、その上どこも観光客で込み合っているのでアパートを出る気がしない。時折、友人との会食や映画やコンサートに出かけるのをのぞけば一日の大半は家の中で過ごしている。あまり金の無い地元の人間もだいたいこんな感じで夏を過ごしているのではないだろうか。このうんざりする暑さと人混みから逃れるために、時々車を2時間程とばして県の北端の高山地帯に行く。アルプスのひんやりした空気に包まれ、自然の静寂の中を歩くと実にほっとする。
トンド峠(Col de Tende)は私達のお気に入りの避暑地のひとつである。ニースからだと、イタリアのヴァンティミ-ユ(Vintimille、Ventimiglia)経由でリモン(Limone Piemonte)まで走るのが一番の近道だ。トンド峠はフランス(南側)とイタリア(北側)の国境にあり、イタリア側にはリモン町が運営する広大なスキー場がある。この峠の国境・稜線に沿って東西にハイキングトレイルが伸びている。標高差500m程のゆるやかな道である。去年、初めてここを歩いてすっかり気に入ってしまった。特に標高2177mのペルラ山(La Perla)周辺はこの時期には色とりどりの草花が咲き乱れていて、非常に美しい。
今回は悪天候の中を出発し、最初の2時間は濃霧で視界が殆どゼロだったが、ペルラ山に着いた頃には幸運にも青空が見られるまでに回復した。ペルラ山の麓には浅い盆地が広がっており、残雪 がそこここに見られた。8月に入る頃にはすべて消滅してしまっているだろう。赤い山ツツジの花が満開で、その間を鹿が2頭、駆け足で通り抜けて行くのが見えた。深緑の草に覆われた盆地はいつも私に不思議な印象を与える。どこか遠い南米の山々を思わせる。私たちは盆地の湖の畔で昼食をとり、1時間ほど何もせずに辺りの風景を堪能していた。

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