2014年5月3日土曜日

サンタニエス(Sainte-Agnès)から熊山(Mont Ours)へ

サンタニエス村
ニース近郊には絵になるフォトジェニックな「美村」が三つある。エズ(Eze)、ペイヨン(Peillon)とサンタニエス(Sainte-Agnès)である。良い光りに恵まれれば誰でも傑作が撮れると思えるほどである。
サンタニエス村(Sainte-Agnès)はモントン(Menton)から数キロ山に入った所にある。村自体はそれほど面白くはないのだが、村の背後の小高い丘からのモントン市街そして地中海の眺めが素晴らしい。
サンタニエス村周辺にはハイキングトレイルが縦横に走っていて、休日にはハイカーが多く訪れる。今回は村の近くの熊山(Mont Ours)と呼ばれる標高1239m の山に登ってみた。地図を御覧頂けると分かるように、サンタニエス村から少し山に入った峠(Col des Banquettes)の駐車場から熊山に登り、帰りは別の山(Pointe Siricocca)を迂回して戻るルートである。休憩時間を含めて、全行程の所要時間は5時間弱だった。
熊山までは標高差の500m を一気に登るが傾斜がなだらかのでそれほどきつくはない。高度を上げるにしたがい地中海が次第に大きく視界に入ってくる。このような山と海の景色はこの地方独特のものである。熊山の頂上には古い城壁に囲まれた測候所の建物がある。(城自体は残っていない。)視界は360度開けていて、北側にはまだ雪に覆われた南アルプスの山々がよく見えた。サルビヤの一種だろうか、紫色の花がびっしりと咲いていた。
高度を上げると地中海が見えてくる。
熊山からは下り道になる。途中、Pic de Garuche と呼ばれる小山に立ち寄って、第二次世界大戦時代に建てられた要塞を見た。サンタニエス村は映画でも有名なマジノ戦線の南端に位置していて、イタリア軍の攻撃からモントンを守るために建設された巨大な要塞がまだ残っている。村の周辺の山にも小型の要塞があちこちに見られる。
Pointe Siricocca の全景
Col de Verroux が左下に見える
要塞からさらに下ると峠(Col de Verroux)に着く。この日はオリエンテーリングが行われていて、峠にはテーブルが設けられており、次々にやって来るハイカー達が差し出す紙に初老の男性がスタンプを押していた。私たちは峠から下って Pointe Siricocca の裏側を回って駐車場まで歩いたのだが、オプションとしてこの山に登るのも面白いだろう。Pointe Siricocca は海側が切り立った崖なので頂上からの眺めは圧巻である。駐車場までの帰り道はかなり長く感じられた。景色は標高が低いためかそれほどでもなかった。
中央やや上、山の斜面にあるのがサンタニエス村
サンタニエス村へはぺーユ(Peille)経由で車で行くのが景色もきれいでお勧めである。ニースからだと40分程かかる。モントン経由だと短時間で着くが殺風景だ。
サンタニエス村の隣にはゴルビオ(Gorbio)と呼ばれる別の村があり、この二つの村を巡る周回ルートは景色が素晴らしく非常に人気がある。初めてこの地方に足を入れる方には是非お勧めしたい。