2013年11月2日土曜日

クルムの紅葉

クルムの滝
昨日、紅葉狩りにクルム(Courmes)へ行ってきた。今年は天候が不順なためか紅葉は始まったばかりで、クルムの森はまだ青々としていた。二、三週間後に再び出かけてみようと思う。

2013年10月7日月曜日

ペヨン

このところ週末は天気が悪く、外へ出る機会がなかなかない。昨日の日曜日も雲が多く、時々雨の一日という天気予報だったのだが、短時間の山歩きなら大丈夫だろうと思い、近くのペヨン(Peillon)村まで行き、2時間程山の空気を吸ってきた。ペヨンはニースから20分と近く、景色も美しいのでよく出かける。
この辺りではすでに秋の紅葉が始まったようで、所々でナナカマドやスモークツリーのきれいに色づいた葉を見た。本格的な紅葉はまだ一ヶ月ほど先だろう。
今は狩猟シーズンの盛りなので、あちこちから猟銃の発砲音がした。ハイキングトレイルから数百メートルしか離れていない所でイノシシ猟をしているので、ちょっと危険だ。途中、猟師が撃ち落したイノシシを崖から引き上げているのを見た。その近くではロッククライミングをしているカップルがいる。
ハイキングを終えて村に戻ると、殺されたばかりの若いイノシシの血にまみれた死骸が噴水のそばに静かに横たわっていた。

2013年8月29日木曜日

ニース山小屋(Refuge de Nice)

前々回のオティエ湖の記事の中でニース山小屋(Refuge de Nice)に通ずるハイキングトレイルのことに少し触れた。実はその一週間後、ベルべェデールに再び戻り、ニース山小屋そしてその先のニレ湖(Lac Niré)まで歩いたので、その時の様子を書いてみる。左の地図を御覧頂ければお分かりのように、分岐点からオティエ湖へ向かわずに、ゴルドラスク谷に沿って(オレンジ色の道)ニース山小屋まで行く。1時間半の行程とやや長いが、なだらかな登りなので初心者でも楽に歩ける。

分岐点から「エストレック滝」(Cascade de l'Estrech)そして昔の関所跡だろうか、「イタリア人の壁」(Mur des Italiens)と呼ばれる石壁を通り過ぎながら高度を上げて行く。イタリア人の壁を過ぎたあたりから、次第にむき出しの岩石が目立ち始める。しかしまだ標高が低いので植物も青々と茂っている。小川がそこここに流れていて、典型的なメルカントゥールの風景である。途中、牧草地のような広く平坦な場所を歩くが、非常に気持ちが良い。

ニース山小屋(標高2232m)は「フウ湖」(Lac de la Fous)を見下ろすように岩の上に立っている。かなりしっかりと造られた建物で一度に80人収容できるらしい。その横には冬用のやや小さい山小屋も立っている。フウ湖には水量調整用のコンクリートの堰が設けられている。どこか人口湖のような感じがして余り面白くない。山小屋で昼食をとろうと考えていたのだが、すでに他のハイカーの一団にベンチを占領されてしまっていたので、さらにニレ湖まで進むことにした。

ニース山小屋とフウ湖

ニレ湖はさらに100m程登った所にある。この辺りには滝や小川が無数に流れている。小川を二度、三度と渡り先へ進む。すでに駐車場を出発してから600m以上登り、二時間半ぐらい歩き続けているので疲れてきた。最後の登りはややきつかった。

ニレ湖(標高2353m)はオティエ湖に比べればやや見劣りするが、それでも美しい。氷か雪の塊が湖の中央に浮かんでいた。鉱物質の風景である。ここで昼食をとった後、さらに奥へと行ってみると、小さい湖がまだある。

ニレ湖

名前の無いこれらの湖の岸の一部は平らな草地になっていて、フランス人ハイカーのグループがテントを立て、それぞれ本を読んだり、昼寝したりしていた。非常に気持ちの良い場所だ。こんな所で一晩過ごしてみたいと思った。

ニレ湖の先にある無名湖のひとつ

道はさらに続き、上の写真の背景にある山を越えて驚異の谷へと行く。実際、このトレイルはGR52と呼ばれるアルプス縦走トレイルの一部である。さらに補足すると、このGR52はさらに大きい、オランダの北海沿岸から始まり、地中海のニースまで延びる全長2600キロのGR5と呼ばれるトレイルの地方名である。だが、我々のハイキングはこの無名湖までで、しばらく辺りの風景を堪能した後、同じ道を引き返した。

景色がきれいで変化に富んでいて、非常に満足できるハイキングだった。ニレ湖で止まらずに、その奥へさらに進むとことをお勧めする。

2013年8月11日日曜日

ロスフェール周回(Tour du Lausfer)

上ロスフェール湖
Lac Lausfer Supérieur

ニースから車で南アルプスへ行くには4通りのルートがある。過去の記事に書いたように、ボネット峠(Col de la Bonette)又はカヨル峠(Col de la Cayolle)を抜けてアルプ・ドゥ・オート・プロバンス県(Alpes-de-Haute-Provence)に入るルート、そしてトンド峠(Col de Tende)とロンバルド峠(Col de la Lombarde)を抜けてイタリアに入るルートである。今回はロンバルド峠近辺でのハイキングについて少し書いてみる。
ロンバルド峠(標高2351m)からイタリアに入り、15分程谷を下った所に、ヨーロッパで一番高い教会と言われる聖アンナ教会(Sanctuaire de Ste-Anne/Santuario di Sant'Anna di Vinadio)がある。ここを起点(標高2035m)にして複数の湖を巡る、非常に美しいハイキングルートがある。県のガイドブックによると標高差520m、所要時間4時間、難易度中級のルートである。ロスフェールとはここにある山の名前である。

ハイキングルート
教会の駐車場を出ると、テシナ峠(Pas de Tesina)までずっと登りである。道は石がゴロゴロしいて少し歩きにくいが、道筋がはっきりしているので迷うことはない。この日は他にもフランス人、イタリア人のハイカーが多数いたが、混雑とまではいかない。この辺りはよく知られた聖地らしく、イタリア人の青年のグループが湖を回りながら聖書を朗読していた。(10世紀末にここに聖母が現れたので教会が建てられたということだ。)途中、ここ最大の聖アンナ湖(Lac de Ste-Anne/Lago di S. Anna)の脇を通る。湖の中心まで太いパイプが設置されていてちょっと醜い。他にも小さい湖がここそこにある。そっちの方がきれいだ。

テシナ峠からは風景が一変する。草木のない、裸の岩山が視界を埋めるようになる。万年雪がそここに見られる。実際、トレイルの一部はシャーベット状の雪で覆われているのでその上をザクザクと音をたてながら歩く。気持ちがいい。ニースと比べると気温は10度以上低い。
テシナ峠から風景が一変する

国境のサブレ峠(Col du Saboulé)を出た辺りから緑が再び増してくる。フランス側の青々とした山を眺めながら進む。道はなだらかである。上ロスフェール湖(Lac Lausfer Supérieur)に着く。ロスフェール山(標高2547m)がその上に聳え立っている。この辺りはメルカントゥール国立公園でよく見られる景色だ。見慣れているのだが飽きることがない。

上ロスフェール湖畔を通り、丘を登ると下ロスフェール湖(Lacs Lausfer Inférieurs)が見えてくる。緑の平坦地に青い湖面が映えて美しい。箱庭のような感じだ。私はこのような風景が大好きだ。何枚か写真を撮るが、太陽が高すぎてうまく色が出ない。こんな所に早朝か夕方あたりに来て、じっくり撮影したいものだ。

下ロスフェール湖とムニェール山

下ロスフェール湖を眼下に見ながら、ロスフェール峠(Col du Lausfer 標高2430m)まで登る。フランス側、遠方にひときわ高く突き出るムニエール山(Mont Mounier 標高2817m)の三角頭がくっきりと見える。次回、この山を登る予定だ。ここで野生の鹿、シャモアの家族を見た。

ここから聖アンナ峠(Pas de Sainte Anne)まではゆるやかな下りになり、今度はイタリア側の山々を眺めながら進む。そして聖アンナ峠からは教会の駐車場まで一気に下る。この辺りで教会を取り巻く建物や聖アンナ湖が一望できる。

聖アンナ湖とイタリア側の山

このルートで一番気に入ったのは景色の変化だ。4つの峠をまたいで歩くので、その都度、風景が変わり、飽きることがない。教会までのアクセスが容易で、また登りもそれほどきつくないなので、やや人出が多いのが唯一の難だろう。だが是非、お勧めしたい。
夏場は近くのフランスのスキーリゾートのイゾラ2000(Isola 2000)で安くアパートが借りられる。我々の場合は一泊45ユーロ位だった。ロンバルド峠周辺は色々なハイキングルートがあるので、長期滞在を考えてもよいだろう。

2013年7月27日土曜日

オティエ湖(Lac Autier)-メルカントゥール国立公園

残雪を映すオティエ湖
このところ、ニースは連日30度を超える暑さが続いている。この暑さのため、つい先日、市内に光化学スモッグ警報が出された。公共交通網が日本ほど発達していないので、フランス人は車を多用する。毎年、夏になると市街地では空気汚染が深刻になる。

ニースからベルヴェデール
今回はメルカントゥール国立公園内にあるオティエ湖(lac Autier)についてちょっと書いてみる。湖はニースから車で1時間半のベルヴェデール(Belvédère)という村の外れにある。村を抜けて狭い舗装道路をゴルドラスク谷(Vallon de la Gordolasque)に沿って10キロほど行くと駐車場があり、そこから歩く。原始人の壁画で非常によく知らた「驚異の谷」(Vallée des Merveilles)も近いので、我々が着いた時(朝の九時過ぎ)は、駐車場はすでに100台ほどの車で満杯だった。ハイカーの混雑でこの先が思いやられると危惧したが、大半は別ルートを選んだようで、我々は比較的静かな一日を過ごすことが出来た。

ハイキングルート
駐車場からクント木橋を渡りゴルドラスク川に沿って20分程歩くと、分岐点に着く。そのまま谷を直進するとニース山小屋に、谷を横切り斜面を上るとオティエ湖に行く。ここから湖まで600m弱の上りである。道は岩がゴロゴロしていてやや歩きにくく、初心者には多少きついかも知れないが、景色はよい。この辺りは水が豊富で、あちこちに川が流れており、大小様々な滝も見られる。野生の鹿やモルモットを期待していたのだが、この日は一匹も見ることが出来なかった。駐車場から2時間弱でオティエ湖に到着。

オティエ湖は最大深度8mあるようだが、水は冷たく、よく澄んでいた。蛙ではなく、小ぶりのマスが泳いでいるのが見えた。残雪と雲の白が湖面によく映え、非常に美しい。周りの切り立った山々も美しい。去年行ったプラル湖の周辺と似たような地形である。実際、プラル湖は山ひとつ隔てた別の谷に位置している。地学的には双方とも氷河が侵食した窪地に形成された湖であるので似ていても不思議ではない。

暑さにうだるニースを出発してから4時間弱でこの自然の中に立つことができるとは、我々は幸せ者である。多分、オティエ湖は今まで行った高山の湖の中でも美観トップ5に入る。是非、お勧めしたい。
オティエ湖を目指してひたすら登る

2013年7月12日金曜日

夏山:ペルラ山(La Perla)

左端にそびえるのがペルラ山

夏のニースは住みづらい。外は30度を超える暑さ、その上どこも観光客で込み合っているのでアパートを出る気がしない。時折、友人との会食や映画やコンサートに出かけるのをのぞけば一日の大半は家の中で過ごしている。あまり金の無い地元の人間もだいたいこんな感じで夏を過ごしているのではないだろうか。このうんざりする暑さと人混みから逃れるために、時々車を2時間程とばして県の北端の高山地帯に行く。アルプスのひんやりした空気に包まれ、自然の静寂の中を歩くと実にほっとする。
トンド峠(Col de Tende)は私達のお気に入りの避暑地のひとつである。ニースからだと、イタリアのヴァンティミ-ユ(Vintimille、Ventimiglia)経由でリモン(Limone Piemonte)まで走るのが一番の近道だ。トンド峠はフランス(南側)とイタリア(北側)の国境にあり、イタリア側にはリモン町が運営する広大なスキー場がある。この峠の国境・稜線に沿って東西にハイキングトレイルが伸びている。標高差500m程のゆるやかな道である。去年、初めてここを歩いてすっかり気に入ってしまった。特に標高2177mのペルラ山(La Perla)周辺はこの時期には色とりどりの草花が咲き乱れていて、非常に美しい。
今回は悪天候の中を出発し、最初の2時間は濃霧で視界が殆どゼロだったが、ペルラ山に着いた頃には幸運にも青空が見られるまでに回復した。ペルラ山の麓には浅い盆地が広がっており、残雪 がそこここに見られた。8月に入る頃にはすべて消滅してしまっているだろう。赤い山ツツジの花が満開で、その間を鹿が2頭、駆け足で通り抜けて行くのが見えた。深緑の草に覆われた盆地はいつも私に不思議な印象を与える。どこか遠い南米の山々を思わせる。私たちは盆地の湖の畔で昼食をとり、1時間ほど何もせずに辺りの風景を堪能していた。